「イッセー尾形とまらない生活スペシャル2005in三重」「演出家・森田さんの"イッセー尾形ができるまで"」「イッセー尾形とフツーの人々」公演に関連する、イッセー尾形さんのインタビュー記事をご紹介します。
                                    (神奈川芸術PRESS 5月号より抜粋)

                                                        Q:インタビュアー
                                                        A:イッセー尾形

Q. 一人芝居を始められてから、もうかなりになられますね。イッセー尾形

A. もう30年近くになりますか…。舞台の上に白い布だけの装置で、舞台上で着替えもメイクもするというスタイルは始めたころから一緒ですが、ネタはもう400本を超えました。


Q. 作品はどんなふうにつくられるのですか?

A. バーテンダー、サラリーマン、引越し屋のアルバイト、ホステス、チェリスト…といろいろな人物を取り上げていますが、最初はスケッチなんです。そのスケッチから、存在感のあるナマの人間にまでしていく。動く彫刻といったらいいかな。そういう作業で新作を創り、あちこちの劇場で演じる中で育てていってます。
 いろんな人物、といっても、別に形態模写をしているわけではないんです。たとえば、駐車場でどんどん記憶をなくしていって自分の名前までわからなくなってしまうサラリーマン「山ちやん」の芝居は、元は《ある駐車場でサラリーマンが一人ぽつんといるのを見た》というぼくのメモから出発してます。それが大きなドラマの入口としてものすごく何かを含んでいる気がしたんで、芝居を創った。小説家みたいなものです。見かけはノンフィクションだけど、世界はフィクションなんです。
 でも、「入口」の部分はホントじゃないと誰も入ってきてくれない。「ああいう人、いるいる!」「あんなことあるよなあ」と、お客さんが感覚的にわかってくれて、参加できることが一番いい「入口」なんです。芝居というのは理屈じゃないですから、そのネタにのれるかのれないかは、お客さん次第。舞台でやってみないとわからない。
 で、毎回、終演後に楽屋でミーティングをするんです。その日のお客さんの反応をもとに、ああしたほうがいい、こうしたほうがいい、とやって、次の日芝居が変わっていく。こうして作品がどんどん育っていくのです。その人物を表すその人物ならではのオリジナルの表情を、お客さんと−緒に探していく、それが醍醐味ですよね。
 だからこれで完成、というのはありませんね。いちおう次の新ネタを作る時は一区切りと思いますが、海外で再演するとまた育っていたりするので、常に細胞は生きている…ということです。



Q. 舞台の上で衣装、メイク、宰を替えながら、実に多様な人々に変貌されますね。

A. メイクや衣装で外見を完璧に変えたほうが、お客さんがいろいろ想像してくれる。変え方が中途半端で、なんか「イッセーさんの素」が垣間見えたという風になってしまうと、フィクションからノン・フィクションのほうに次元が下がっちゃうんですよ。そうならないように、長年のキャリアで…。
演じているいろいろな人物は全部ぼくから出てきた、僕の分身です。逆に面白い人がいても自分のセンサーに引っかからないとダメだし、でもセンサーに引っかかるかどうかは、演ってみないとわからない。やってみても作品が育たなかったら、それは縁がなかったということですね。
この人物は誰で、どんな性格の人で、と、なまじこっちが枠をつくってしまうとちっちやな作品になってしまうんですよ。
それより芝居の中の枠のゆるい人物に「好きに生きろ!」つて感じで野に放つ、というのが、芝居が豊かに広がっていく秘訣です。



Q. どんな役者であろうとお考えですか?

A. 僕は団塊の世代の最後の世代なのですが、人生先細りになっていくのではなく、もっと豊かになっていきたいと思います。いつか山藤章二さんに「イッセーさんは現代を映すゆがんだ鏡だ」と褒め言葉として言われたことがあるんですけど、やっぱり、この生身を使って、いつだって現代を無我夢中で写し取りたい。他から得た情報とか第二次的な手投ではなく、第一次であるこの体を使ってね?そしてゆがんだ鏡としては、豊かにゆがんでいきたいな、と思います。

Q. ところで、7月には青少年センターでイッセーさんも参加するワークショップがありますね。
(三重県文化会館では9月27日〜30日まで演劇創作ワークショップ「演出家・森田さんの『イッセー尾形ができるまで』」を、10月1〜2日に公演「イッセー尾形とフツーの人々」開催)

A. はい、僕の芝居をずっと演出してくれている演出家の森田雄三さんがやるワークショップで、そこでは僕も参加者のひとりとして一緒に芝居を創って、上演までしようという企画です。
僕はその森田さんと出会うまで、演劇って何なのかも知らなかった。今も自分のしている事が、何と名づけられるものなのか解らないままかもしれない。自分の中を覗いて、覗ききって・飽きたときに、ふと目を上げると周りが目に飛び込んでくる。それは森田さんが、僕の癖を否定しないで、曲がりくねりをそのまま、僕のあり方として付き合ってくれたからです。参加する皆さんにも、その人なりの「目からウロコ」が、きっと見つかると思います。そしてそのままの自分で楽になって欲しいですね。



  平成17年度公共ホール演劇製作ネットワーク事業「イッセー尾形のつくり方」
9/27〜30 「演出家・森田さんの"イッセー尾形ができるまで”」概要はこちら

10/1, 2 「イッセー尾形とフツーの人々」〜三重編〜 公演概要はこちら


  平成17年度公共ホール演劇製作ネットワーク事業「イッセー尾形のつくり方」プレ公演
9/3, 4 「イッセー尾形のとまらない生活スペシャル2005in三重」公演概要はこちら

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