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イッセー尾形さんより、三重県の皆様にメッセージをいただきました。

「イッセー尾形のとまらない生活2006in三重」公演概要はこちら


イッセー尾形さん
 僕が13年前に初めて東京から出て訪れた街が名古屋だった。成人してから関東を一歩も動かなかった理由は、現場仕事で働くのに忙しかったし、さして旅を楽しむタイプでもなかったからだ。それが40歳を過ぎてから、『自分のネタを観てもらう』ただその目的だけでどこの劇場にも飛び込むようになった。新幹線に乗る時、ホームで僕はスタッフに「これ名古屋に止まる?」と不安そうに聞いたのだそうだ。僕の旅の地図は、そこからようやく道を作ったのだ。
 名古屋から近鉄の改札までの長い通路で、一度もう気が萎えている。初の三重県文化会館公演の時だ。賑やかそうな四日市で腰を浮かしてまだだと言われ、津のホームに降り立って、(うーんドイツ、カールスルーエの町…)と気を取り直した。12年間国内と同じように毎年自力で公演しているヨーロッパの街々では、どんな静かなところにも、夜8時にはどこからやってくるのだろうと驚く人の数が、手入れの行き届いたすばらしい劇場に湧き出るように集まるのだ。僕にとっての旅は、食べ物や観光物は何もいらない。『劇場』にこそ、その街のその人たちが在るからだ。
 津に泊まった最初の朝、秋の陽に輝く海を見ながら丘の上の建物を目指した時、僕は、その昔お伊勢さまを想い歩を海から山に向けた人たちもこんな気持ちだったかな、と自分もこうして日常を一日一日思い返す『劇場』へと入っていった。

イッセー尾形さん(津駅)
                            イッセー尾形




イッセー尾形 Issey Ogata

1952年福岡県生まれ。71年に演出家・森田雄三と出会い、それをきっかけに演劇の世界へと足を踏み入れる。80年には「バーテンによる12の素描」で初めての一人芝居に挑戦。「とまらない生活」シリーズ(83〜)や「イッセー尾形の都市生活カタログ」シリーズ(84〜) など、独自の世界観を放つ一人芝居が話題を呼ぶ。93年から海外公演を国内同様の独自のシステムで開始。その後は国内外問わず精力的に活動している。また、映画出演も数多く、代表作はエドワード・ヤン監督「ヤンヤン 夏の想い出」('00)、市川準監督「トニー滝谷」('04 宮沢りえさんとの二人芝居)、アレクサンドル・ソクーロフ監督による主演作品「太陽」('05)など。そのほかイラストや小説も手がけており、多岐に渡る活躍をみせている。06年版全国中学校国語教科書に書き下ろし作品が採用されたほか、著書多数。

 昨年の平成17年度公共ホール演劇製作ネットワーク事業「イッセー尾形のつくり方『イッセー尾形とフツーの人々』」で、三重のフツーの人々と共演し、芝居の新たな可能性を示した。
 地域の人々と芝居をつくる活動は現在も進行中。

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